西洋音楽史 - 人物
この節では、人物を軸に古代〜20世紀各論(全地域)を主要対象として扱う。
このページでは、人物を中心に古代から20世紀各論までの流れを整理する。
試験で問われやすい要点のつながりを確認し、関連事項の把握を進める。
- 対象時代古代エジプトから20世紀各論までを人物史の対象とする。
- 対象要素人物・代表作・活動地域・関連技法と団体を主要要素として整理する。
- wm対応範囲wm.txt:1-1789を、人物ページで参照する基準範囲とする。
ページ内目次
古代人物の見取り図(紀元前30世紀頃〜5世紀)
対象範囲
古代は、エジプト・ギリシア・ローマで音楽実践の基盤は共通しつつ、用途と表れ方が異なる。
整理軸
古代エジプト・ローマの人物(紀元前30世紀頃〜5世紀)
主要人物と役割
後世オペラへの連続
古代ギリシアの人物(紀元前10世紀頃〜紀元前1世紀頃)
叙事詩と悲劇の担い手
理論と思想の軸
中世人物の見取り図(5〜15世紀)
時代の特徴
中世は教会制度と都市文化の併存の中で、理論家・作曲家・吟遊詩人が分化した時代である。
この節の整理対象
このページではグレゴリオ聖歌体系、ノートル・ダム楽派、アルス・ノヴァを人物軸で整理する。
さらに世俗音楽の担い手までを含め、人物中心で全体像を示すという点が重要である。
教会音楽・理論の人物(5〜15世紀)
記譜教育とノートル・ダム楽派
- グイド・ダレッツォはネウマ譜から線譜化への教育実践を体系化しソルミゼーション基盤を整えた。
- レオニヌス(レオナン)とペロティヌス(ペロタン)はノートル・ダム楽派の代表である。
- ノートル・ダム楽派はオルガヌムを2声から3・4声へ発展させた。
アルス・ノヴァへの展開
- フィリップ・ド・ヴィトリーとギヨーム・ド・マショーはアルス・ノヴァを理論・実作の両面で確立した。
世俗音楽の担い手(5〜15世紀)
担い手と主要主題
- トルバドゥール/トルヴェール/ジョングルールが世俗音楽を担った。ミンストレル/ミンネジンガー/ゴリアールも世俗音楽を担った等。
- 主題は宮廷風恋愛・英雄叙事・風刺であり、言語はオック語・オイル語・世俗ラテン語である。
後期中世から初期ルネサンスへの接続
- イングランドのジョン・ダンスタブルは3度・6度を重視し、協和的な響きで大陸へ影響した。後期中世から初期ルネサンスへの移行をつなぐ橋渡し役と評価される。
ルネサンス人物の見取り図(15〜16世紀)
時代の重心移動
ルネサンスではブルゴーニュ楽派からフランドル楽派へ重心が移った。さらに宗教改革期には、各地域様式へ音楽創作の重心が広がった等。その過程で、ポリフォニー・通模倣・ミサ曲・世俗歌曲の語法が体系化された。
この節の整理範囲
ここでは前期(15世紀)と後期(16世紀)を人物中心で整理する。
ルネサンス(15〜16世紀:前期15世紀)
主要作曲家と技法の発展
ギヨーム・デュファイとジル・バンショワは、フォーブルドンと定旋律ミサを発展させた。ヨハネス・オケゲムとジョスカン・デ・プレ(ジョスカン・デプレ)は、循環ミサ・通模倣技法を発展させた。
代表作と様式の標準化
代表作には《ロム・アルメ・ミサ》《パンジェ・リングァ・ミサ》がある。《アヴェ・マリア…ヴィルゴ・セレナ》も通模倣書法の重要作である。これらの作品群によりルネサンス・ポリフォニーの標準が形成された。
ルネサンス(15〜16世紀:後期16世紀)
宗教改革期の主要作曲家
宗教改革・対抗宗教改革の中で、主要作曲家群が多様な様式を展開した。マルティン・ルター、ヨハン・ヴァルター、ウィリアム・バード、パレストリーナが含まれる。クラウディオ・モンテヴェルディ、カルロ・ジェズアルド、ジョヴァンニ・ガブリエリも含まれる。展開された様式は、コラール・サーヴィス/アンセム・ローマ楽派、第2の作曲法・ヴェネツィア楽派である。
世俗歌曲領域の展開
世俗歌曲領域では、クレマン・ジャヌカンやクロダン・ド・セルミジ、ハインリヒ・イザークが重要である。三者はシャンソンの作例を通じて、言語表現と楽想処理の幅を拡張した。同時にリートやマドリガーレの実践にも関わり、地域差を越える語法を整えた。これらの活動は世俗歌曲ジャンルの発展に寄与し、後続世代の規範となった。
前古典派(18世紀前半〜後半/1720年頃〜1780年頃)の人物史
時代背景と様式
前古典派はバロックからウィーン古典派へ移行する過渡期に位置づけられる。啓蒙主義と市民層の拡大を背景に、ギャラント様式と多感様式が併存した。
人物・制度面の焦点
人物面ではヨハン・シュターミッツを中心とするマンハイム楽派が重要である。また、バルトロメオ・クリストフォリによるピアノ発明が鍵盤文化を刷新した。さらに、アレッサンドロ・スカルラッティが先行して大きく台頭した。ジョヴァンニ・ペルゴレージとグルックが続き、オペラ史的展開を主導した。
前古典派(18世紀前半〜後半)の主要人物
器楽・様式形成の中心人物
- ヨハン・シュターミッツは、マンハイム楽派の中心人物であるという点が重要である。
近代オーケストラ運用と4楽章型の定着にも大きく寄与したという点が重要である。 - カール・フィリップ・エマヌエル・バッハ(C.P.E.バッハ)は、多感様式の代表である。
鍵盤作品とシンフォニアで語法を拡張し、様式を実作面で展開した。 - ヨハン・クリスティアン・バッハ(J.C.バッハ)は、鍵盤協奏曲を開拓した作曲家である。
その語法は若年期モーツァルトの協奏曲作法に強い影響を与えた等。
イタリア・オペラ改革への連結
- アレッサンドロ・スカルラッティは、ナポリ楽派の祖とされる作曲家である。
オペラ創作を基盤に、ダ・カーポ・アリアの定式化を進めたという点が重要である。 - ジョヴァンニ・ペルゴレージは、《奥様女中》でオペラ・ブッファ成立の象徴的役割を果たした。
- クリストフ・ヴィリバルト・グルックは、オペラ改革で劇と音楽の統一を重視した。
ウィーン古典派(18世紀後半〜19世紀初頭:ハイドン/モーツァルト)
器楽語法の確立
フランツ・ヨーゼフ・ハイドンは、交響曲と弦楽四重奏曲の語法を確立した。
形式均衡・ソナタ形式・動機労作は、古典派様式の核となる地盤を築いた。
ヴォルフガングアマデウス・モーツァルトは、交響曲・ピアノ協奏曲・オペラ・教会音楽を統合し発展させた。
作品《フィガロの結婚》《ドン・ジョヴァンニ》《コジ・ファン・トゥッテ》《魔笛》《レクイエム》である。
次時代への接続
C.M.v.ウェーバーの《魔弾の射手》は、次時代への連関で重要な作品である。
作曲者カール・マリア・フォン・ウェーバーは、ドイツ語オペラの自立を進めた。
この動きはロマン主義への橋渡しとなり、後続の語法形成を促した。
ベートーヴェンと古典派の拡張(18世紀後半〜19世紀初頭)
交響曲観の転換
ベートーヴェンはウィーンで、交響曲を娯楽中心から思想表現の中心へ高める交響曲の理念化を推進した。
語法拡張とジャンル横断
主題動機労作を徹底し、《運命》《田園》《交響曲第9番》で構造統一とドラマ性を拡張した。
さらに《フィデリオ》《ミサ・ソレムニス》などで、声楽・宗教領域にも大規模な表現を展開した。
人物像と主要作品(ベートーヴェン/18世紀後半〜19世紀初頭)
生涯と活動基盤
- ボン出身であり、1792年にウィーンへ移住して活動基盤を築いた。
後援者リヒノフスキー侯・ルドルフ大公の支援を受けつつ、自立した活動へ移行した。 - 1802年のハイリゲンシュタット遺書で難聴と芸術使命を告白し、以後も創作を継続した。
中後期様式と代表作品
ロマン主義導入(19世紀:ドイツ/オーストリア〜各地域)
思想と美学の転換
ロマン主義期には主観性・感情表出が、創作理念の中心として前面化した。
標題音楽と絶対音楽の対比は、同時代の批評軸として広く意識された。
ヴィルトゥオーソ文化と、国民主義(ナショナリズム)も並行して展開した。
地域展開と作曲家の接続
イタリア・フランス・ロシア・中欧・北欧では、オペラ、印象主義音楽、国民楽派の語法が多様化した。
その展開は、ロッシーニ・ヴェルディ、ドビュッシー・ラヴェルの系譜へ接続する。
さらに、ロシア五人組、グリーグ、シベリウスへも連なる構図である。
ロマン主義(19世紀前半)人物の全体像
前期ロマン派の中心領域
ロマン派前期は、シューベルト・メンデルスゾーン・シューマン・ショパンを軸として展開した。
中心領域では、歌曲と性格的小品が時代を規定するかたちで拡張した。
あわせて、表題性と音楽評論も前期ロマン派の語法形成に寄与した。
中期以降への接続
中期以降は、リストの超絶技巧、ワーグナーの楽劇、ブラームスの絶対音楽志向が併存した。
この併存は、19世紀後半の作曲観が単線化しないことを示す重要な徴候である。
その結果、調性の再編と半音階主義の深化を含む多様な語法が形成された。
ドイツ・中欧の主要作曲家(19世紀前半)
前期ロマン派の中核人物
- フランツ・シューベルトは、連作歌曲と交響語法の両面で詩的表現を確立した。
《冬の旅》《美しき水車小屋の娘》《未完成交響曲》が代表例である。 - フェリックス・メンデルスゾーンは、《フィンガルの洞窟》を作曲した。
この曲は《ヘブリディーズ序曲》とも呼ばれる演奏会用序曲である。
《無言歌集》では歌唱的旋律と簡潔な形式で作風を広げ、前期ロマン派を代表する。 - ロベルト・シューマンは、《子供の情景》《詩人の恋》で詩情と内面描写を深めた。
新音楽時報を創刊し、批評活動を通じて同時代の音楽観形成にも寄与した。 - フレデリック・ショパンは、19世紀のピアノ語法の高度化を主導した。
《英雄ポロネーズ》《黒鍵のエチュード》《革命のエチュード》が代表作である。
中後期への拡張と統合
- フランツ・リストは、《ラ・カンパネラ》《マゼッパ》《超絶技巧練習曲》で高難度語法を確立した。
交響詩の創始によって、19世紀器楽表現に新しい大きな地平を開いた。 - リヒャルト・ワーグナーは、示導動機(ライトモティーフ)を中核技法として楽劇を構築した。
楽劇四部作《ニーベルングの指環》で総合芸術化を推進し、オペラ概念を刷新した。 - ヨハネス・ブラームス:古典形式の再解釈によって絶対音楽を擁護し《交響曲第1番》などを作曲。
- アントン・ブルックナーは、後期ロマンの交響語法を大きく拡張した。
グスタフ・マーラーとリヒャルト・シュトラウスも、大規模な管弦楽表現を推し進めた。
イタリア・オペラと周辺人物(19世紀前半)
ベルカントから国民的オペラへ
ロッシーニ・ドニゼッティ・ベッリーニはベルカント語法を成熟させ。ヴェルディは《ナブッコ》《椿姫》《アイーダ》などで国民意識と劇的性を結合した。
世紀末様式と上演実務への接続
世紀末にはピエトロ・マスカーニがヴェリズモ(写実主義(現実主義))を前景化した。
《カヴァレリア・ルスティカーナ》は、その代表作として位置づけられる。
楽器史ではアドルフ・サックスがサクソフォンを発明し、関連楽器群も改良した。
上演実務では、アイーダ・トランペット文脈への関与でも知られる。
ロマン主義(19世紀後半)人物の全体像
後期ロマンの地域別併存
後期ロマンでは、プッチーニとヴェリズモ系オペラが強い存在感を示した。
ドビュッシーとラヴェルは、印象主義的語法を代表する作曲家として並び立つ。
ロシア五人組とチャイコフスキーも、地域固有の語法を発展させた。
さらにスメタナ・ドヴォルザーク・グリーグ・シベリウスが国民的作風を並行させた。
概念群の同時進行
表題音楽・絶対音楽・半音階主義・示導動機などの概念は、同時並行で展開した。
これらは地域差を伴いながら、19世紀後半の語法を規定したという点が重要である。
イタリア/フランスの主要人物(19世紀後半)
イタリア歌劇の継承と展開
- ジャコモ・プッチーニは、《トスカ》《蝶々夫人(マダム・バタフライ)》《ラ・ボエーム》を作曲した。
劇性と旋律美を両立させ、19世紀末以降のイタリア・オペラを代表する。 - ジャコモ・マイヤベーアは、グランド・オペラの典型を確立した等。
シャルル・グノーとジョルジュ・ビゼーは、オペラ・コミックと抒情オペラを発展させた。
フランス管弦楽と印象主義への接続
ロシア/中東欧/北欧の主要人物(19世紀後半)
ロシア・中東欧の国民語法
- モデスト・ムソルグスキーとニコライ・リムスキー=コルサコフは、ロシア語オペラの語法を拡張した。
管弦楽色彩の設計を発展させ、ロシア国民楽派の表現領域を広げた。 - ピョートル・チャイコフスキーは、《白鳥の湖》《眠れる森の美女》を作曲した。
《くるみ割り人形》や交響曲でも成功し、国際的名声を確立した等。 - ベドルジハ・スメタナは、チェコ国民楽派の基盤を築いた作曲家である。
アントニン・ドヴォルザークは、その流れを交響曲と室内楽で国際化した。
北欧と都市大衆文化の展開
- エドヴァルド・グリーグ・カール・ニールセン・ジャン・シベリウスは、北欧の民族性を音楽化した。
ノルウェー・デンマーク・フィンランドの文脈を、交響と器楽の作法へ展開した。 - ヨハン・シュトラウス1世・ヨハン・シュトラウス2世という点が重要である。ウィンナ・ワルツとオペレッタ文化を都市娯楽として定着という点が重要である。
20世紀前半の人物史(1914〜1945)
戦争期とモダニズムの基軸
第一次世界大戦と第二次世界大戦を挟む時代に、モダニズムは「調性の再編」と「新音響の探索」を推進した。
新ウィーン楽派の無調・12音技法、未来派の騒音受容、ストラヴィンスキーの原始主義が、同時進行した。
地域別の同時進行
サティの家具の音楽、ソ連の社会主義リアリズム、アメリカのシンフォニック・ジャズが併存した。
欧州・ソ連・アメリカで、異なる近代化モデルが並行して同時進行した。
主要作曲家(20世紀前半/1914〜1945)
前衛語法の基盤形成
- アルノルト・シェーンベルク・アルバン・ベルク・アントンという点が重要である。ウェーベルン:12音技法と表現主義で20世紀作曲法を刷新という点が重要である。
- イーゴリ・ストラヴィンスキー:《春の祭典》《プルチネラ》《兵士の物語》で様式転換を主導。
- ベーラ・バルトーク・ゾルターン・コダーイ:農民音楽研究を創作へ接続し、民族語法を近代化。
地域制度と新語法の拡張
- オリヴィエ・メシアン・ジョリヴェ:ジュヌ・フランス文脈で限定旋法・非西欧リズム・電子楽器活用を展開。
- ドミートリイ・ショスタコーヴィチ:体制下で社会主義リアリズムと個人表現の緊張を作品化。
- ジョージ・ガーシュウィン・ジョン・ケージという点が重要であるという理解が有効である。シンフォニック・ジャズとプリペアド・ピアノで米国前衛を拡張という点が重要である。
周辺芸術との連動(20世紀前半/1914〜1945)
美術運動との並行
カンディンスキーの抽象は、20世紀前半の芸術観そのものを再編した。
デュシャンのレディメイドは、制度批判の論点を明確に前景化した。
ダダ運動/ダダイズムは、反芸術の姿勢で既成価値を徹底的に解体した。
新即物主義(ノイエ・ザハリヒカイト)は、客観性と機能性を重視した。
音楽側の対応
同時期の音楽では、実験音楽の領域が急速に拡張し、作曲語法の更新を強く促した。
併せて新古典主義も拡大し、反ロマン的傾向が前面化して形式志向を再強化した。
この変化は20世紀前半の人物史の読み方そのものを更新し、評価軸の再編をもたらした。
したがって、技法史に加え、美術・思想・政治史との連動で理解する必要がある。
20世紀後半の人物史(1945〜1991)
冷戦体制と前衛の再編
1945年以後の冷戦体制下で、前衛音楽はダルムシュタット夏期講習を中心に再編された。
同時にトータル・セリー、チャンス・オペレーション、アレアトリー、電子音響研究が並行して進展した。
可聴性と時間体験の再定義
同時にミニマルミュージック・アンビエントミュージック・スペクトル楽派が国際的に拡大した。
可聴性と時間体験を再定義する潮流が広がり、20世紀後半の人物史を読む基盤となった。
主要作曲家(20世紀後半/1945〜1991)
戦後前衛の中核
- ピエール・ブーレーズ・カールハインツ・シュトックハウゼンという点が重要である。電子音響と系列技法を制度化し、戦後前衛を主導という点が重要である。
- クセナキス・ジェルジュ・リゲティ:数理設計とミクロポリフォニーで新しい音響組織を開拓。
可聴性の再設計と地域的多様化
技法・制度・メディアの変化(20世紀後半/1945〜1991)
制作技法と機器環境の拡張
ミュジック・コンクレート(ミュジーク・コンクレート)は録音素材編集で制作法を拡張した。
ライブ・エレクトロニクスとシンセサイザー普及(モーグ)は作曲・演奏・流通の境界を再編した。
制度化と流通の国際化
戦後音楽は、UNESCOの文化交流理念と、大学・研究所(IRCAM)の制度化を基盤に拡大した。
録音メディアの発達も加わり、国際的ネットワークとして展開した。
20世紀各論(20世紀:ドイツ)
ナチスドイツ期から戦後再編へ
ナチスドイツ期には、弾圧と亡命が進み、音楽文化の連続性が大きく断絶した。
その後、シェーンベルク・ベルク・ヴェーベルンの系譜は
再評価され、理論的影響力を回復した。
その系譜は、20世紀音楽史では新ウィーン楽派として位置づけられる。
戦後前衛の制度化と技法拡張
戦後はヒンデミットと
シュトックハウゼンらが、それぞれ教育と創作で再編を牽引した。
トータル・セリーから
ライブ・エレクトロニクスまで、技法領域を段階的に拡張した。
その結果、ドイツ語圏前衛の制度基盤と国際的影響力が形成された。
ドイツ圏の主要人物(20世紀)
新ウィーン楽派の中心
- アルノルト・シェーンベルク:無調・12音技法・シュプレヒシュティムを体系化。
- アルバン・ベルク / アントン・ヴェーベルン:表現主義の抒情性と凝縮音響をそれぞれ展開。
再構成と電子音響の展開
- パウル・ヒンデミット:新古典主義文脈で再構成的作風を提示した。
- カールハインツ・シュトックハウゼン:電子音・空間・舞台を統合し《光(Licht)》構想へ到達。
20世紀各論(20世紀:フランス)
潮流の接続と制度基盤
サティ以後のフランスでは、反ロマン主義的志向を背景に潮流が分岐した。
ジュヌ・フランスと
フランス6人組は、別系統の美学を並行的に提示した。
その後、ミュジーク・コンクレートが録音編集を基盤とする作曲観を拡張した。
IRCAMとスペクトル楽派へも、系譜が接続し、制度と技法が再編された。
主要人物と語法の多方向化
メシアン・ジョリヴェ・プーランクは、宗教性と原始主義の語法を多面的に深化させた。
ミヨー・シェフェール・ブーレーズは、録音編集と制度化を軸に制作環境を更新した。
電子音響研究も、並行して進み、フランス前衛の技法領域は多方向に展開した。
フランス圏の主要人物(20世紀)
宗教性・語法更新の中核
- エリック・サティ:《家具の音楽》で聴取態度を転換し、環境音楽的発想を先導した。
- アンドレ・ジョリヴェ / オリヴィエ・メシアン:オンド・マルトノを導入し、音色語法を刷新した。限定旋法と非可逆リズムで、20世紀フランス語法を独自に拡張した。
- ダリウス・ミヨー / フランシス・プーランク:フランス6人組として都市的・新古典的語法を展開した。
録音・研究機関と音響設計
- ピエール・シェフェール:ミュジーク・コンクレートとテープ編集を制度化した(GRM)。
- ピエール・ブーレーズ / トリスタン・ミュライユ:IRCAMとスペクトル研究の中心となった。
- ヤニス・クセナキス:確率と建築思考を結び、音響設計を数学的手法へ接続した。
20世紀各論(20世紀:アメリカ)
越境語法の形成
ガーシュウィンから
ケージ、さらにミニマル・ミュージック世代へと
流れが接続する。
ジャズ/ブルースと
実験主義が同時に進行し、20世紀アメリカ音楽の複層性を形づくった。
戦後語法への影響
シンフォニック・ジャズ、偶然性音楽、プリペアド・ピアノ、反復技法が、戦後語法の更新を促した。
これらは国際的
音楽語法の再編に強く影響し、越境的な創作実践を後押しした。
20世紀各論(20世紀:ソビエト/ロシア)
国家統制と創作環境
ロシア革命後、社会主義リアリズムが
公定美学として強く機能した。
ジダーノフ批判と
形式主義批判は、作曲実践の許容範囲を大きく制限した。
主要作曲家の対応
ストラヴィンスキーは亡命後に西欧で活動し、ロシア出自の系譜を国際的に展開した。
プロコフィエフ・ショスタコーヴィチ・ハチャトゥリアンは、統制下で創作方針を調整した。
公的要請と私的表現の緊張を抱えつつ、20世紀音楽史に大きな足跡を残した。
20世紀各論(20世紀:イタリア/イギリス/日本)
地域別の創作軸
ベリオは引用の音楽を推進し、複数資料の重ね合わせを作曲の軸に据えた。
その結果、多層的な作品設計を展開し、20世紀後半の語法更新を牽引した。
イギリスと日本の並行展開
ブリテンの英語
オペラ復興と、黛敏郎・
武満徹・
一柳慧による
日本現代音楽の
展開が並行した。
この領域では、前衛技法の受容に加え、各地域の言語・文化・制度が
作品設計に直結した。